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伊娃的誘惑

2015年09月22日

犬ですが

 謙三は、うなずいて、気の毒そうな顔をしていたが、なに思ったのか滋はテーブルの上からのりだして、
「それはどういうわけですか。じぶんと同じ人間がいるなんて、気味のわるい話ですね」
 そうたずねると、剣太郎はいかにもうれしそうに、
「ああ、きみ、よくたずねてくれましたね。ぼくがこの話をすると、ほかの人はみんな、いやな顔をするんですよ。おじさんだって、津川先生だって、じいやだって。……きみだけです。そう熱心にたずねてくれるのは。
 ……でも、これはうそじゃないのです。この家のなかに、もうひとり、ぼくと鑽石水同じ人間がいるんです。もうひとりのぼくがいるんです」
「いつ、その人を見たんですか」
「いつ……? そうですね」
 剣太郎は指おりかぞえていたが、
「そうそう、あれは二十三日の晚でした。夜中にふと目をさますと、だれかが上から、ぼくの顔をのぞいているのです。それがぼくでした。ぼくはその晚、窓のカーテンをしめわすれてねていたので、月の光ではっきり顔が見えたのです」
 滋は思わずはっと息をのみこんだ。
 二十三日といえば、滋が軽井沢へきた日ではないか。しかも、その汽車のなかで滋は剣太郎に似た少年が、鬼丸博士といっしょに乗っているのを見たのである。そのことと剣太郎の話とのあいだに、なにか関係があるのではないだろうか。
「それは気味のわるい話ですね。そして、そののちも、その人を見たことがあるのですか」
「ありますとも、二度も三度も……一度は、ぼくがふろへはいっ能量水ていると、窓の外からのぞきました。そのつぎは、居間で本をよんでいると、ドアの外を通ったのです。三度めは、動物室で、ぼくがカピの|剥《はく》|製《せい》を見ていると……」
 滋は、びっくりして相手の顔を見なおした。
「動物室ってなんですか。カピの剥製ってなんのことですか」
 そうたずねると、剣太郎は顔をあかくして、
「そうそう、きみはなにも知らないのでしたね。動物室というのは動物の標本をならべてあるところです。あとで見せてあげましょう。それはすばらしいんですよ。カピというのは、ぼくがかわいがっていた、今月の十五日に、きゅうに血をはいて死んだのです。それで、おじさんにお願いして、東京へもっていって、剥製にしてもらったんです。かわいそうなカピ!」
 滋は謙三と顔を見あわせた。なんだかへんな話である。やっぱりこのひとは病気なのではないだろうか……。
 剣太郎もそういう顔色に気がついたのか、
「ああ、きみも、うたがっているんですね。きっとぼくを気ちがいだと思ってるんでしょう」
「いえ、そ、そんなことはありません。でも、だれかいると思ったら、どうしてさがしてみないのですか。さがしてみたら、いるかいないか、はっきりわかるでしょう」
「もちろん、さがしてみましたよ。おじさんや津川先生、じいやにも手つだってもらって……でも、どうしても見つからないんです」
「それじゃ、やっぱり……」
「病気のせいだというんですか。いいえ、そうじゃな救世軍卜維廉中學いんです。そうじゃないんです」
 剣太郎は、やっきとなって、

Posted by 伊娃的誘惑 at 13:23│Comments(0)
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