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伊娃的誘惑

2016年01月13日

希望の物語を


「一応、これは物語の始まりなのだから、設定として、僕はお金を盗んだと信じこんでいる。だが、このように新たに読み直すとき、前のエンディングの続きの記憶により、まあちゃんが作者の言われるがままに“偶然”お金を拾ってしまった事を、僕は知っているはずなのに、あえて愚かなふるまいをしなければならない。なぜなら、一応この話は始まったばかりだから。君に会って随分な時間が経っているのに。」
こん太は一歩ちかづいていいました。
「きみはそのお金を拾ってはならない。捨てて。それを持ったら警察に届けなくてはならぬ。それをしたら世界の破滅だ。捨てなさい。さあ。」
こん太は言いましたが、まあちゃんはお金から手をはなせません。
「どうしたの?」
「だめ…できない…これを止めたら、なにかが、こわれる…大変な事になる気が…する。」
「大変な事?すでに大変だ!」
こん太はまあちゃんの手からお金をはらいおとし、ふみつけました。がすがすとあしおとがむなしくあおぞらにひびきます。こん太はどういうつもりなのでしょう。ものがたりははじまりがかんじん。はじまりがこわれたら、つづきもおわりもせいりつしません。
「この、札、束、が、絶、対、的、死、を、招、くん、だ、」
おかねがくろくよごれ、つかいものにならなくなりました。まあちゃんはたずねました。
「これからどうするの?」
「作者の力はこれで失われた僕たちで物語を作るんだ。」
おろかものが。
「どんな物語?」
「未知と言う名の。」

その日の空は、その大きさを示すが如く青く、その大きさを隠すように雲を纏っていた。広がる緑の大草原と丁度いい色合いだ。その草原にマアとコンタが、並んで仰向けになっていた。
マアは言った。
「綺麗な空だね。」
コンタも答えた。
「綺麗な、空だね…。」
二人は起き上がった。西を向けば、あの大きな森が見え、東を向けば、山がある。
「あの山の向こうには、なにがあるんだろう。」
「分からないが…かつてない幸福の園がある、という伝説を聞いた。だが、その園にたどり着こうと、多くの若者が命を失った。」
「でも…行きたい。」  

Posted by 伊娃的誘惑 at 12:43Comments(0)